鈴木忠志 創造の軌跡 他 |
SCOTのホームページに「鈴木演出の本質に迫る映像公開」というチャンネルをみつけたのでさっそく覘いてみた。『鈴木忠志 創造の軌跡』45分、『ニッポンジン』17分、『世界の果てからこんにちはⅡ』19分の映像だった。利賀村まで出かけることができないでいたわたしにとって嬉しい映像だった。『鈴木忠志 創造の軌跡』は稽古と舞台との繋がりがよく分かるように編集されていて、バラバラにしか入ってこなかった情報が整理されたようで何とも心地よかった。途中で挿入された「私の俳優のための訓練は、この見える身体の内部に在る見えないものを、どのようにしたら見えたもののように感じることができるのか、そしてまた、それらへの集中力の優劣を、どのような判断で集団で共有できる価値基準ににするか、その必要性から考案されたものです。演出家として、俳優の能力を判断するときの公平な基準、集団の構成員が納得する客観性を手にしたいと考えたのです」というテロップも面白く、とくにその中の「集団の構成員が納得する客観性を手にしたいと考えた」というところに唸った。演出という作業が演劇理念の現実化であると同時に劇団維持の方法論でもあるような劇団論が持つ「政治」性を超えるビジョンが、一瞬だがそこに見えたように思ったからだ。後の2本はたぶん昨年利賀村での上演の一部分だったようだ。『世界の果てからこんにちはⅡ』は一番人気のレパートリーということだが、ビデオ鑑賞でありながらも興奮を抑えきれなかった。